当社の専門領域Ⅲ 化学物質管理

目次

    国際的な化学物質管理の推進

    既存の条約では対応できない化学物質の適正管理を推進するため、国際的な化学物質管理のための戦略的アプローチ(SAICM)があります。これは、政府、政府間機関、産業界、市民社会、学者など様々な関係主体が参加する自主的な枠組です。現在、2020年を目途として活動してきた枠組の見直しが行われており、当社は関連国際会議における論点整理、概要作成、日本がSAICM事務局に提出する英文資料の作成を支援しています。

    効果的な政策の検討には、科学的根拠のある基礎情報が不可欠ですが、そのような情報を提供するために、例えば気候変動分野にはIPCC、生物多様性及び生態系サービス分野にはIPBESと呼ばれる「科学・政策パネル」が存在します。2022年3月に開催された第5回国連環境総会では、化学物質・廃棄物・汚染分野に関する新たな科学・政策パネルの設置に向けた交渉プロセスの開始が決定しました。当社は、この新たな科学・政策パネルがより効果的なものとなるよう、関連する情報収集、対処方針の検討、交渉への参加等を通して、日本政府の交渉を支援しています。

    また、化学物質の排出移動量届出制度(PRTR 制度)の導入を検討しているアジア諸国に対し、我が国の取組や経験の共有、導入に向けた協力を支援するとともに、日本が中心となって運用している国際共有PRTRデータベースの更新なども行っています。

     

    アジア諸国におけるPRTR制度導入に向けた協力として、具体的にはどのような活動をするのですか?

    対象国の行政担当官をフォローするために、化学物質対策等の取組状況や課題等を聞き取り、助言を行います。また、化学物質対策の行政担当者を対象とした講習会の実施なども行っています。

    近年の業務動向:POPsとPFAS

    当社は、残留性有機汚染物質(POPs)に関する知見が豊富で、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約が発効した翌年の2005年より継続して関連業務を行っています。専門・技術的事項が審議される残留性有機汚染物質検討委員会会合(POPRC)に向けた情報収集や課題整理、国内の実施計画の一部である「非意図的生成物の排出削減のための行動計画」の改定案の作成、POPs大気排出インベントリーの作成、POPsの排出抑制対策の検討・整理などに携わっています。

    また、近年、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)の規制に向けた検討が、欧州諸国をはじめとして多くの国で活発になっています。PFASは、撥水剤やコーティングで食品包装や衣類等に幅広い用途で使用されていますが、有害性や環境残留性の懸念が指摘されています。ストックホルム条約の規制対象に関連して、当社でも2020年より継続して環境省の国際動向調査を行っています。

     

    私たちの生活に便利な化学分質でも有害な物質があるのですね!

    有用な化学物質であっても長い目で見たときに人の健康や生活環境に影響を及ぼす化学物質があります。将来に先回りして影響を未然に影響を防ぐ、とても大切でやりがいのある仕事です!

    近年大規模な災害が増えていますが、化学物質管理分野の業務でも関連して動きがありますか?

    災害時の有害化学物質の漏洩・流出対策の動きがあります。国や地方自治体から事業者までが一体となった災害時の仕組みづくりの検討をしています。

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